【ひとりぼっちに】心機一転して転職したのに…

心機一転！新しい会社に転職

私は30代の会社員。

ついこの前、3年間働いた会社を離れ、心機一転で転職をし、この会社に入社をすることになった。

入社して１カ月。

ある程度仕事にも慣れてきて今日もいつものように、パソコンに向かって仕事をしていた。

「おい、木村（仮名）。ちょっと来てくれるか。」

上司に呼ばれた私は、デスクの前まで足を運び、「何でしょうか。」と質問をした。

「ちょっとこれを見てくれるか。」

上司がそう言い、パソコンを指差した。

私は上司の正面に立っていたので、真横まで移動をした。

「ちょっとこの案件を見てほしいんだが・・・」

そう上司はいい、パソコンを指差した。

私はそれと同時にパソコンとの距離を詰めた。

それと合わせるようにして、上司もパソコンに顔を近づけた。

「ここの取引先なんだが、お前やれそうか？」

新しい会社に入社して初めて大きな取引を上司から任されたのだ。

私は、「はい！全力でやってみます！ありがとうございます。」と、いつもより少し大きな声で返事をした。

すると上司が急に口に手を当て、「よ、よろしくな。戻っていいぞ」と少し言葉に詰まりながら言葉を返した。

私は、体調でも悪いのかなと思い自席に戻り途中だった仕事を続けた。

それから２週間。

私は、前回上司に任された取引先の営業を成功することができ、仕事に対してのモチベーションが上がっていた。

今日もいつものようにパソコンに向かい仕事をしていると、「木村！いいか。」上司からの招集がかかった。

また、取引先を任せてもらえるのかと、私は胸を躍らせた。

私は上司の正面に立ち、高まる気持ちを抑える事が出来ずいつもより大きな声で返事をした。

デジャヴだろうか。

上司がまた口に手を当てて、少し顔を歪めながら話しているではないか。

その時、私はまさか・・・と思った。

生まれて30年たってそんなこと家族にも他人にも注意されたことはなかった。

私は少し、ショックを受けたがどうせ上司の感違いだろうと思い、その時はそこまで気にすることなくその場を終えた。

しかし、それは数日後に現実になったのである。

ある日の昼休みの出来事だった。

コンビニで買ったカップラーメンにお湯を注ぎに給湯室に行こうとして、トイレの横を通りすぎる時だった。

トイレから女性社員のひそひそ話が聞こえてきた。

誰かのうわさをしていると思い、私も興味本位で耳を立てた。

「上司の坂本課長が言ってたんだけど、木村さんってさぁ・・・」

私はどきっとした。

まさか、自分の話だなんて。

私は、そのまま話を聞き続けるか、この場を去るか迷っていた。

しかし、好奇心が勝ったのだ。

「めっちゃ口臭いらしいよ。ドブみたいな臭いするって。」

「え、そうなの。絶対しゃべりたくないじゃん。」

私は、聞かなければよかったと自分を恨んだ。

その日を境に、私は社員のみんなか距離を置かれるようになり、私はひとりぼっちになった。